マスク社会──それは『素顔が‘センシティブ情報’』な世界。令和の恋愛事情は混沌としていた。 俺たちの青春はマスクと共にあったと言っていい。 同中の友だちも、進学してから仲良くなったクラスメイトも、先生も、好きになった女子もマスクをつけていた。 こんな時代じゃ好きな子の素顔も拝めない。だって素顔は ‘センシティブ情報’ 。 素顔を見せるのは恥ずかしい──それが当たり前だった。 だから俺が『声フェチ』になったのもきっと自然なことだろう。 ここ最近はマスクを外す人も出てきたけど、俺の好きな子は相変わらずマスクを ...