その巨大なタコ壷が建造されたのは、今から三百年も前だと伝えられている。 当初は漁村で収穫された魚類の貯蔵が目的であったが、いつしかそこには 一匹のタコのみが棲息するようになった。 海岸に隣接したその貯蔵庫には数本の細いパイプ状の流路が設けられており、 海水を取り込むことにより水槽として機能していたが、僅かな隙間から一匹の タコが侵入したのだ。 そのタコは貯蔵していた魚類を食いあさり、巨大化していった。 その様相があまりにも神がかって見えたため、いつしか村人たちは村の繁栄を そのタコに祈願するようになってい ...