伝統工芸を営む小さな工房に勤める 新人職人の青也(せいや)と先輩職人の藍里(あいり)。 仕事を通じて互いを認め合い遠からず距離が縮まりそうな 予感のする二人だったが 久しく姿の見えなかった工房の跡取り息子 雄大(ゆうだい)が金目当で工房に現れ 言葉巧みに青也を取り込んでいく。 青也と工房、大事なものを守るため 藍里は自分の身を武器に戦う決意をする。 だが、伝統と向き合うことだけに ひたすら打ち込んできた彼女は 女の扱いに慣れた男の前にあまりに無力だった。 『自分が耐え続けていればいつかは――』 その悲痛な ...