■作品紹介 「私が好きなのはあなたです」 彼女は俺の目を見てそう言った─── 俺はただの名前のないおじさんだ。 夢もカネもない。 バイト先の若いやつらとは話すこともない。 この世界に存在していないのと大して変わらない そんなおじさんだ。 冬の終わりのことだ。 疲れ切った深夜の電車。 同じバイト先の女の子が●っ払いたちからしつこく絡まれている場面に遭遇した。 彼女とは口をきいたことさえなかったが、 俺は何の気の迷いか、●っ払いたちから彼女を助けた。 鼻血まみれになった俺の顔を心配そうに覗き込む彼女は 驚くべ ...