ここにきて、岩●鈴芽は大変な事に気がついた。 所持金がない。逃げたダイジンを追うため、 何としても神戸まで行かなければならないのに。 財布は空、スマホは充電切れ、ICは残額ゼロ── 辺りは既に暗く、近くに民家らしきものは見当たらない。 歩き疲れて体力は限界ギリギリだし、空腹で頭も回らない。 もしかして、自分はここで野垂れ死ぬんだろうか── そんな考えが頭をよぎった時、目の前で人影のような ものが通り過ぎていった。 「あ、あの!すみません──!」 今の鈴芽にとってはまさに救いの神。もう、この人に 助けを求め ...