◆Story◆ 華美な王城が聳え立つ、城下町の一角。 民家がひしめき合うように建ち並び、道は複雑に入り組んでいる。 狭い石階段を登ったり降りたり、民家と民家の細い小道を幾度も曲がったその先。 人通りの少ない薄暗い路地に佇む1軒の屋敷。 そこには1人の女性が住んでいる。 ……恋人や家族はいない、らしい。 らしいというのも、その小さな家からは、時折話し声が聞こえてくるというのだ。 友人が訪ねて来ているのかと問えば、そうではないという。 市場での買い物もきっちり1人分。 しかしながら。 屋敷の窓が偶然、うっすら ...