【ターゲット】 中野一花 【ストーリー】 最終電車、終電を逃した者たちの静寂が満ちる車内。 かすかに響くレールの音と、吊り革の軋む音だけが支配するその空間で、 突然‘それ’は始まった。 「…っ」 不意に腰に触れる手。 最初は、よくある軽い痴●だと、そう思った。 振り払えば済む程度の、よくある悪ふざけ。 だが違った。 手はどこまでも執拗で、逃げようとすればするほど、 背後から絡みつくように身体を拘束されていく。 降りようにも、電車はすでにトンネルの中。 閉ざされた鉄の箱。 逃げ道など、どこにもなかった。 ─ ...