「このような雌の匂いを漂わせて。 もはや生娘の面影はどこにも見えないな」 ────────────────── 祖父が亡くなってからというもの、貴方は父以外を味方だと思えなかった。 残された祖父の財産を巡って親類の関係は泥沼化し、命のやり取りさえ始まった。 そんな醜い争いの中で、相続権を持った父が交通事故で亡くなってしまう。 叔母の仕業だろうと確信はあるものの、証明する手はない。 貴方は藁にも縋る思いで、開けてはいけないと言われていた蔵に手をかけた。 中に入ると不思議な声が聞こえ、導かれるままに声のする方 ...