◆二人の想いが通じ合うまで後少し……そのはずだった――◆ 受験を控えた三年の夏。 俺、海原 蒼壱(うなばら そういち)は 東京の大学を受験しこの田舎から出て行く予定だ。 「後少しで離ればなれになっちゃうと思うと落ち着かなくて…」 そう告げたのは幼馴染の林条 碧月(りんじょう みつき)。 まだ付き合っていない。 しかしそんな会話ができるぐらいにはお互い意識していた。 どちらかが一歩踏み出せば想いが通じ合う、そんな距離感。 彼女と過ごせる時間も残りわずかだ。 寂しがる彼女に少しでも同じ時間を共有してやりたいと ...