教会に放浪のシスターが滞在して、しばらく経つ。 人当たりが良くて、老若男女誰に対しても優しく、そして美人。 俺は、そういう‘嫌う理由がない’彼女が苦手だ。 そんなだから生まれてこの方、恋人すらいた事のない人生なわけで、 だからといって不自由もないし、童貞のまま死んでいくんだろう。 そう考えていた。今日を迎えるまでは。 「こんにちわ」 休憩中、甘い声に顔を上げるといつもの修道服に身を包んだ彼女の姿があった。 雑談などする気もなく、挨拶も早々に立ち去ろうと腰を上げる。 「私は何か嫌われるような事をしてしまいま ...