彼女――柊 瑞樹(ひいらぎ みずき)は、 その日も診察室で俯いていた。 カウンセリングを行おうと問いかけをするも、 彼女は光が宿らない虚ろな瞳のまま反応しない。 以前は学校のチアガール部に所属し、その輝かしい笑顔で 観るもの全てを魅了していた明るい彼女…。 しかし、そんな彼女の姿はもうどこにもない。 ――ストーカーによる悲惨な暴行事件の被害者となってしまったから。 壊れてしまった彼女を、精神科医としての矜持にかけて なんとしてでも快復させたい…僕はそう強く思っていた。 ―――そして、数ヵ月後――― ようや ...