多肢少女の頭を軽く小突く。 「ほら、ちゃんと挨拶しなさい」 「……こんにちは」 少女がぼそりと呟いた。 「……うん、いい子だね。お姉さんもこんにちは」 にこりと笑いかけると、少女も小さく微笑んだ。 「あぁそうだ。君の名前を聞いてもいいかな?」 「……アトラ」 「そうか、よろしくなアトラ」 差し出された手をおずおずと握り返した小さな手を優しく握る。 「……あの、お兄ちゃんのお名前はなんていうんですか?」 「ん?俺かい?俺はカザハヤトって言うんだよ」 「じゃあ、お兄ちゃんで良いですか?」 「ああ、構わないよ」 ...