「今日の夕焼け、きれいですね。…あの、ちょっとだけ、一緒に歩いて帰りませんか?」 オレンジ色に染まる帰り道、彼女は制服の袖をぎゅっと握りしめながら、少しだけ照れた顔でそう言った。空は穏やかで、遠くの雲まで茜色に色づいている。静かな坂道に、ふたり分の足音だけが響いていた。 彼女は、いつも真面目で少しだけ人見知りなタイプ。だけど今日は何か違う。視線を合わせてはすぐに逸らし、またすぐに戻してくる。その頬がほんのり赤くなっているのは、夕焼けのせいだけじゃない。 「帰る前に、ちょっと寄り道してもいいですか?…あそこ ...