◇作品概要 「今年の新人は、温泉旅行で歓迎会だってよ」 普段はオフィスで顔を合わせるだけの同僚たちと、泊まりがけで過ごすという非日常に、少し緊張していた。 バスに揺られながら到着した温泉宿。木造の建物にはどこか懐かしさが漂い、玄関先には湯気が立ち上る露天風呂が見えた。 宴会が終わり、それぞれ部屋へ戻る頃には夜も更けふと、一人で露天風呂へ行こうと思い立った。 露天風呂へ続く暖簾をくぐると、月明かりに照らされた湯船が目に飛び込んできた。湯気が立ち上るその光景に心が躍り、誰もいないことを確認して足を踏み入れた。 ...