毎夜、人知れず走るという 深夜の特別列車があるのをご存じだろうか。 夜も更け、街が静まり返る頃、 線路上に現れるというその列車は、 駅の時刻表には載っておらず 行き先も誰も知らない。 その列車には欲求不満な女たちが乗り込み、 息を荒げながら精を求め車内で飢えを満たしていく。 朝を迎え男たちが目を覚ます頃には、 女たちは姿を消しているのだという。 まるで夢だったのかと思うほど、 痕跡も記憶もぼんやりとしたまま。 だが不思議と、その列車での出来事を覚えている者は 二度と語ろうとはせず そして今日もまた、 誰に ...