◆◆◆知らない女が、僕の弱点を全部知っている◆◆◆ 玄関に見慣れない女物の靴がある。 一体誰が? どうやって入った? 「おかえり」 玄関に現れたのは、背の高い女性だった。 僕と同じくらいの身長に、ふわふわとした長い黒髪が肩の下まで伸びている。 切長の瞳が印象的な、はっきりとした顔つきの美人だった。 「警察を呼びますよ」と慎重に伝えると、彼女はほんの少し目を細めた。 その表情からはどういう感情なのかいまひとつ読み取れない。 「……君がそう言うなら仕方ないけど、でもさ、お腹空いてるでしょ? 君の好物たくさんつ ...