母親が消えた それは酷く唐突で、しかし理解するのには時間がかかった 僕ら兄妹はまだ幼く、冷蔵庫の中身が軽くなっていくその様を見ていることしかできなかった。 腹が減った。飢えた。お金を自分たちで稼がなければならないということにそこで初めて気付いた。 仕方なかったんだ。 だって僕の妹は余りにも美しかったのだから だって僕らには他にできることなどなかったのだから ただ母が遺したカメラに妹の姿を収め、その写真を食料に変えただけなんだ。 妹のことを守りたかったし、お陰で食べるものに困ることはなくなった。 でも、 僕 ...